注文住宅を建てるときに追加費用が発生するのは、よくあることです。ですが、注文住宅の追加費用がどの程度発生してしまうか、心配になっている方も多いのではないでしょうか?
注文住宅の追加費用には、発生する理由と抑える方法があるので、きちんとこれらを把握することで不安を解消することが可能です。
この記事では、注文住宅の追加費用が発生する理由をはじめ、注文住宅の追加費用と予算オーバーのリスク、注文住宅の追加費用の具体例、注文住宅の追加費用の抑え方について、詳しくご紹介いたします。
注文住宅の追加費用が発生する理由
注文住宅は見積もりを出してもらって、その通りに住宅が建てられることは稀であるといえるでしょう。見積もりはおおよそのものであり、実際に建てる段階になって変更が出てくることもあります。また、契約後であっても、追加費用が発生することもあります。
場合によっては、頭金や各種税金の支払いを認識しておらず、注文住宅の追加費用として考える場合もありますが、ここでは、実際に支払う予定ではなかった費用を追加費用としてご紹介いたします。
注文住宅の追加費用が発生する理由には、大きく分けて、以下の3種類があります。
- 実際に住宅を建てる段階になって、必要になった追加工事があった
- 付けたいオプションが出てきてしまった
- 設備のグレードアップがしたくなってしまった
- 実際に住宅を建てる段階になって、間取りに変更が出てしまった
それでは、注文住宅の追加費用が発生する理由について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
実際に住宅を建てる段階になって、必要になった追加工事があった
実際に住宅を建てる段階になって、必要になった追加工事があるケースがあります。
たとえば、以下のようなものが追加工事にあたります。
- 地盤が悪いので、住宅を建てられるようにする地盤改良工事
- 切土や盛土、土留など、住宅を建てる土地に高低差があった場合に高低差をなくす工事
- インフラ(水道・ガス・電気)が整っておらず、上下水道を引かなければならないときの給排水設備工事
- 下水道がない場合の浄化水槽の設置
- 雑草や石などを除去したあとの産廃処理
このように、実際に住宅を建てる段階にならないとわからないことが発生した場合、追加工事が必要になります。
これらの追加工事は追加工事をせずに住宅を建てることができないため、必ず実施しなければなりません。
追加工事が必要な場合は、その分の費用がかかるため、注文住宅を建てるときに追加費用がかかります。
付けたいオプションが出てきてしまった
注文住宅の見積もりの段階では付ける予定がなかったオプションであっても注文住宅を建てるときになって、付けたいオプションが出てくることがあります。
付けたいオプションを追加すれば、必然的に追加費用が発生します。
設備のグレードアップがしたくなってしまった
注文住宅を建てるときに、設備も自由に決めることが可能です。設備にはグレードがあり、どのグレードを選択するかも自由です。
そのため、注文住宅を建てる段階になって、やっぱり設備のグレードアップをしたいと思いたち、グレードアップをしてしまうと、追加費用の発生につながります。
実際に住宅を建てる段階になって、間取りに変更が出てしまった
実際に住宅を建てる段階になって、間取りに変更が出てしまうことがあります。たとえば、窓の場所がこれにあたります。
「建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二十八条」では、窓について以下のように定められています。
(居室の採光及び換気)
第二十八条
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、五分の一から十分の一までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
ただし、部屋の形状によって、以下のようにも定められています。
第二十八条
4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。
<引用:「建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二十八条」>
このように、窓の設置については、建築基準法で決められているため、窓の設置場所に問題が生じた場合などは、窓の設置場所の変更が必要になります。
このような場合、追加費用が発生します。
注文住宅の追加費用と予算オーバーのリスク
注文住宅の追加費用は、オーバーしてしまうことが多い傾向にあります。
追加費用のオーバーは、50~500万円と幅があり、追加費用が発生してしまう理由もさまざまです。
注文住宅の追加費用がオーバーしてしまうと、住宅ローンの返済にも影響が出るなど、よいことがあまりありません。
注文住宅を建てるときには、追加工事などやむを得ない理由以外で予算オーバーをしないように心がけましょう。
どうして、注文住宅の追加費用は予算からオーバーしてしまう?
注文住宅の追加費用が予算からオーバーしてしまうのは、追加費用が発生してしまう原因に起因しているものの、そこには別の問題があります。
注文住宅の追加費用が予算からオーバーしてしまう理由には、以下の7点があります。
- 金銭感覚がくるってしまう
- 欲張りになってしまう
- 正確な費用を把握しきれていない
- 住宅ローン計画が不十分
- 優先順位が決まっていない
- ハウスメーカーなどに予算がしっかり伝わっていない
- 諸費用もしっかり予算に入れる
それでは、注文住宅の追加費用が予算からオーバーしてしまう理由について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
金銭感覚が狂ってしまう
注文住宅を購入するときには、大きな金額が動きます。
数千万円以上で注文住宅を購入するため、オプションで数十万円がかかってしまうことが大して問題に感じなくなってしまうこともあるでしょう。
金銭感覚が狂いがちになり、オプションを付けることに躊躇がなくなってしまった結果、注文住宅の追加費用が予算から大きくオーバーしてしまうことにつながります。
欲張りになってしまう
注文住宅を建てるときには、さまざまなオプションを目にすることになります。
注文住宅のオプションは、床材やクロスの種類まで含めると、かなり多く、あれもこれもつけたいと思ってしまうものでしょう。
ですが、すべてのオプションを付けることは現実的に不可能ですし、実際欲張ってしまい、注文住宅の追加費用が予算オーバーになってしまうことが多いです。
欲張りになってしまいそうになったら、まず注文住宅の追加費用の予算がオーバーしていないか確認しましょう。
正確な費用を把握しきれていない
注文住宅を建てるときに、正確な費用を把握しきれていない場合には、注文住宅の追加費用が予算オーバーしてしまいがちです。
注文住宅を建てるときに、一体どんなものにいくら費用がかかっているかを確認するくせをつけましょう。
注文住宅を建てる場合には、建築にかかる費用や諸費用など、さまざまな項目で費用が必要です。
住宅ローン計画が不十分
住宅ローンの計画をしっかり立てていないと、注文住宅の追加費用が予算からオーバーしてしまいがちです。
住宅ローンでは借り入れられる金額が年収や返済期間によって決まっています。
住宅ローンで借り入れられる金額で収まらないような注文住宅の追加費用をかけてしまうと、予算オーバーにつながってしまうので、注意が必要です。
優先順位が決まっていない
注文住宅を建てるときには、実現したい理想が数多くあることでしょう。ですが、予算には限りがあるため、優先順位をつけておかなければなりません。
優先順位が決まっていないことによって、次第に注文住宅の追加費用が予算からオーバーしていってしまいます。
あれもこれも理想を叶えようとするのではなく、現実を見ながら注文住宅では何が必要かを考えるようにしましょう。
ハウスメーカーなどに予算がしっかり伝わっていない
ハウスメーカーなどの担当者と密に連絡を取り、意思疎通ができるようにしておくことは大切です。
きちんと意思疎通ができていない場合、予算がしっかりハウスメーカーなどの担当者に伝わっておらず、注文住宅の追加費用が予算を大きくオーバーしてしまうことにつながります。
諸費用もしっかり予算に入れる
注文住宅を建てるときには、さまざまな諸費用がかかります。
諸費用もしっかり予算内に入れておかないと、注文住宅の追加費用が予算からオーバーすることにつながります。
諸費用は現金で必要になることもあるため、注文住宅を購入する場合には、現金と住宅ローンの両方で、予算を考え、注文住宅の追加費用が予算からオーバーにならないように気を付けましょう。
注文住宅の追加費用の具体例
注文住宅の追加費用がかかってしまう理由にはさまざまなものがあり、追加費用をオーバーしてしまうことは珍しくありません。
では、注文住宅の追加費用がオーバーしてしまう場合、どのような具体例があるのでしょうか?
注文住宅の追加費用には、具体的に以下の4種類があります。
- 追加工事
- 変更工事
- オプションの追加
- 設備のグレードアップ
それでは、注文住宅の追加費用の具体例について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
追加工事
注文住宅の追加費用のうち、追加工事には、以下の5つがあります。
- 地盤改良工事
- 切土や盛土、土留など、住宅を建てる土地に高低差があった場合に高低差をなくす工事
- インフラ(水道・ガス・電気)が整っておらず、上下水道を引かなければならないときの給排水設備工事
- 下水道がない場合の浄化水槽の設置
- 雑草や石などを除去したあとの産廃処
追加工事の場合、追加工事をせずに注文住宅を建てることはできないため、注文住宅の追加費用としてかかってしまうのは、やむを得ないものであるといえるでしょう。
変更工事
注文住宅の追加費用のうち、変更工事には、間取りの変更があります。
間取りを施工の段階で変更することは稀ではありますが、窓の位置を変更したり、ドアの数を変更したりするなど、さまざまな変更が可能です。
ただし、間取りの変更が実施できるのは、材料を発注していない着工前です。着工してからの変更はほぼできないため、注意しましょう。
オプションの追加
注文住宅を建てるときには、さまざまなオプションがあり、生活に費用なものや生活を快適にするために付けます。
オプションには以下のようなものがあります。
- 床暖房
- ペット用ドア
- コンセントの増設
- 浴室暖房乾燥機
- バトンリー
- ウォークインクローゼット
- シューズクローゼット
- アイランドキッチン
- ビルトイン食器洗い乾燥機
- 宅配ボックス
このように、オプションにはたくさんの種類があるため、すべてを付けていたら、予算をオーバーしてしまうのは当たり前です。
もちろん、このほかにも多くのオプションが存在しています。オプションはどんなものを優先するかを決めて、追加費用として予算がオーバーしないように決める必要があります。
設備のグレードアップ
注文住宅の場合、どの設備を設置するかは自由に決めることが可能です。また、設備のグレードも自由に選択できます。
どの設備のグレードを下げて、どの設備のグレードを上げるかも自由に決められるため、より自分の理想通りの住宅を建てられるといったメリットがあります。
ですが、設備のグレードを上げすぎてしまうと、注文住宅の追加費用がオーバーする原因となってしまうので注意が必要です。
グレードアップができる設備には、以下のようなものがあります。
- システムキッチン
- 床材
- 断熱材
- 浴槽
- 空調システム
このように、設備のグレードアップには、さまざまな種類があるため、自分の理想の注文住宅がどのような住宅なのかに合わせて、グレードを上げられます。
設備のグレードアップが問題なのではなく、優先順位をつけずにグレードアップしてしまうことが、注文住宅の追加費用のオーバーの原因へとつながってしまうので、気を付けましょう。
注文住宅の追加費用の抑え方
注文住宅の追加費用がオーバーしてしまうと、どうすればいいのかわからなくて途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
ですが、心配はいりません。注文住宅の追加費用がオーバーしてしまわないように事前に対応する方法があります。
注文住宅の追加費用がオーバーしてしまいそうになったら、追加費用の抑え方を実践しましょう。
注文住宅の追加費用の抑え方には、以下の7点があります。
- 予算は少し低くハウスメーカーなどに伝える
- 予算がオーバーしても大丈夫なように別途予算を考えておく
- 見積もりと実際の費用に差が出ないように見積書の内訳をしっかり確認する
- 設備のグレードは契約を締結する前に決定しておく
- オプションを見直す
- どんなことでも優先順位をつけておく
- ハウスメーカーなどの担当者としっかり打ち合わせをする
それでは、注文住宅の追加費用の抑え方について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
予算は少し低くハウスメーカーなどに伝える
注文住宅の追加費用がオーバーしないことは基本的にほとんどありません。
そのため、あらかじめ、ハウスメーカーなどには予算を低く伝えておくことで、本来収めたい予算内に収めることが可能です。
ただし、注文住宅の追加費用のオーバーする金額は、50~500万円と幅が広いので、どの程度、低く見積もるかが難しいといった問題があります。
予算がオーバーしても大丈夫なように別途予算を考えておく
注文住宅を建てるときには、追加費用がかかるものだと考えて、予算がオーバーしても大丈夫なように別途予算を考えておくのもひとつの手です。
見積もりと実際の費用に差が出ないように見積書の内訳をしっかり確認する
注文住宅を建てるときには、必ず見積もりを取ります。
見積書の内訳をしっかり確認していないと、思いもよらないところで追加費用が必要になってしまうことがあります。
見積もりをもらったら、内訳まできちんと確認をして、何にいくらかかるかを把握するようにしましょう。
設備のグレードは契約を締結する前に決定しておく
注文住宅の場合、設備のグレードを自分で決められるため、ついグレードアップをしてしまい、追加費用が発生してしまうというのはよくあることです。
そのため、設備のグレードを途中で上げるのではなく、契約を締結する前までにどのグレードにするかを決めて、変更しないようにしましょう。
オプションを見直す
注文住宅の場合、さまざまなオプションが付けられるので、オプションを付けたくなってしまうことでしょう。
ですが、オプションの付けすぎは、注文住宅の追加費用がオーバーする原因です。
注文住宅の追加費用がオーバーしてしまったら、オプションの付けすぎがないか確認しましょう。
どんなことでも優先順位をつけておく
設備のグレードやオプションなど、さまざまな点で優先順位を決めておくようにしましょう。
優先順位の高いものから優先して、優先順位の低いものは諦めるのも注文住宅の追加費用を抑えるには重要です。
ハウスメーカーなどの担当者としっかり打ち合わせをする
注文住宅の追加費用を抑えるには、ハウスメーカーなどの担当者としっかり打ち合わせすることが大切です。
不明な点や疑問点が出てきた場合には、担当者にその都度確認し、不透明な部分を作らないようにしましょう。
まとめ:注文住宅の追加費用の原因と対策
注文住宅を建てるときには、必ずといっていいほど、追加費用が発生してしまいます。
追加費用が発生するには、やむを得ない理由である場合と、あらかじめ対策を立てておけば防げる場合があるので、正確に理解しておくことが大切です。
やむを得ない理由の場合は、追加工事が必要なときです。追加工事の場合、工事をしなければ注文住宅を建てることはできないので、追加費用が発生してしまうのは仕方がありません。
ですが、オプションの付けすぎや設備のグレードアップなどの場合は、対策を立てておけば追加費用の発生にはつながらないといった側面を持ちます。
注文住宅の追加費用と予算オーバーはリスクも伴うため、しっかりと注文住宅の追加費用が発生しないように対策を立てて、実践するようにしましょう。