注文住宅を購入しようと考えている方の中には、注文住宅が高いことに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?注文住宅が高いのには、きちんとした理由があります。ですが、注文住宅は高いものの、コストを抑える方法も存在しています。
この記事では高いといわれている注文住宅の価格の平均と相場をはじめ、注文住宅が高い原因、注文住宅と建売住宅の価格の違い、高い注文住宅の価格を抑える方法について、詳しくご紹介いたします。
注文住宅が高い!価格の平均と相場
家を建てる方法には以下の3つの種類があります。
- 建売住宅
- 分譲住宅
- 注文住宅
この3つの種類のうち、一番高額なのが注文住宅です。注文住宅は自由度が高く、間取りから外観まで理想通りに建てられる方法です。
そんな注文住宅の価格の平均と相場は、やはり高額であるといえます。
以下は国土交通省住宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書」に記載されている「住宅建築資金と土地購入 資金をあわせた購入資金の総額」などを一覧にしたものです。
項目 | 金額または面積 | 自己資金 |
土地を購入した注文住宅新築世帯 | 平均 5,436 万円 | |
建て替え世帯 | 平均 4,487 万円 | |
住宅建築資金と土地購入
資金をあわせた購入資金の総額 |
全国平均で 5,436万円 | 全国平均で1,665 万円 |
注文住宅の住宅建築資金(土地購入資金を除く) | 全国平均で 3,935 万円 | 全国平均で1,177 万円 |
住宅建築資金 | 全国平均で3,866 万円 | 全国平均で1,023 万円 |
土地購入資金 | 全国平均で 1,819 万円 | 全国平均で712万円 |
住み替え・建て替え後の住宅の延べ床面積 | 全国平均で 125.9 ㎡ | |
注文住宅取得世帯の住み替
え後の敷地面積 |
全国平均で 248.1 ㎡m |
<参照・引用:国土交通省住宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書」>
このように、注文住宅は住宅建築資金 だけで全国平均で3,866 万円、土地購入資金だけで全国平均で 1,819 万円となっているため、注文住宅の価格の平均と相場は高額であるといえるでしょう。
注文住宅が高い原因
注文住宅が建売住宅や分譲住宅とは異なり、高額なのにはきちんと理由があります。注文住宅は、建売住宅や分譲住宅とは建て方自体が違うため、さまざまな要素から高額になりがちです。注文住宅が高い原因を知っておくことは、注文住宅を建てる際になぜ高いのかを納得する材料として必要であるといえるでしょう。
注文住宅が高い原因には、以下の6点があります。
- 土地と建物を別々に購入するため
- 打ち合わせの回数が増えるため
- 工期が長い
- 施工技術が高度なため
- 材料費が高額なため
- 広告費がかかるため
それでは、注文住宅が高い原因について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
土地と建物を別々に購入するため
注文住宅を建てる場合には、2つの建て方があります。
1つ目は「土地を自分で見つけてきて購入し、その土地の上に注文住宅を建てる方法」です。土地が売りに出されているのを確認し、自分で購入を申し込みます。そのあと、その土地の上に、契約したハウスメーカーや工務店が注文住宅を建てます。
2つ目は「土地と建物を同時に購入する方法」です。この場合は、建築条件付き土地と呼ばれるものであり、その土地では依頼できる施工会社が決められていることを意味します。また、それだけでなく、決められた施工会社と一定期間のうちに工事請負契約を交わす必要があります。
注文住宅の多くは、1つ目の方法で建てますが、まれに2つ目の方法で建てなければならないことがあるため、注文住宅で土地を購入する場合には注意しましょう。
そして、土地を自分で見つけてきて購入し、その土地の上に注文住宅を建てる方法を取る場合には、単価が高くなってしまうので、注文住宅は高くなってしまいます。
打ち合わせの回数が増えるため
注文住宅の場合は、間取りから外観まで、自由度が高いのが売りです。そのため、打ち合わせが何度も必要になります。
打ち合わせの回数が増えれば増えるほど、人件費はかさみますし、見積もりを出し直したり、図面を修正したりすれば、その分の費用が加算されていきます。
人件費は注文住宅の価格に反映されてしまうので、打ち合わせが多いことも注文住宅が高い原因になるといえるでしょう。
工期が長い
注文住宅は打ち合わせの回数が増え、時間がかかるのはもちろんのこと、工期も建売住宅や分譲住宅よりも長くなる傾向にあります。
工期が長くなるということは、人件費がその分かかるということです。これは注文住宅がさまざまな細部にまでこだわって建てられることによるものです。
そのため、注文住宅は高くなってしまいます。
施工技術が高度なため
注文住宅は間取りから外観まで、自由度が高く、細部にこだわることが可能な住宅です。そのため、注文住宅を建てるには、施工技術が高度になってしまいます。
どの職人でも建てられるというわけではなく、高い技術を持っていなければ、注文住宅を建てることは難しいでしょう。
また、工数も多いため、職人の技術がさらに求められます。結果として、注文住宅が高くなってしまいます。
材料費が高額なため
注文住宅の場合は、細部にもこだわるので材料費が高額になることが多くあります。
たとえば、無垢材を使用したり、グレードの高い設備を投入したりすると、それだけでも費用は上がります。
また、建売住宅や分譲住宅のように同じような住宅をたくさん建てるわけではないので、ロット数(一度に注文する数のこと)が少ないこともあり、値段が高額になりがちです(ロット数は多ければ多いほど、単価が下がるため)。
また、それらに加え、コロナ禍に入り、輸入木材が高騰するウッドショックが発生しました。
木材が不足したことで、木材自体の価格が上がり、注文住宅にも影響を与えています。それだけでなく、原油の高騰もあり、より注文住宅の価格が高くなっていっています。
広告費がかかるため
注文住宅を建てる際に、契約する会社が大手である場合、多額の広告費を投入している可能性があります。
広告費に費用をかけるということは、その費用が注文住宅に跳ね返ってくるということです。
そのため、大体的に広告を展開しているハウスメーカーや工務店の場合は、注文住宅の価格に広告費も反映されているので、注文住宅が高くなってしまいます。
注文住宅と建売住宅の価格の違い
注文住宅と建売住宅にはさまざまな違いがあります。特に大きな違いはその建て方でしょう。
注文住宅の場合は、自由度が高く、間取りや設備、床材やクロスなどの細かい部分、外観まで理想通りの住宅が建てられます。
建売住宅の場合、すでに建てられている住宅を購入するため、自由度は低く、理想とは違った部分も受け入れなければなりません。
注文住宅と建売住宅の違いを理解した上で、価格の違いを見ると、なぜ価格に違いがあるかがわかるでしょう。
以下は注文住宅と建売住宅の価格と面積を一覧にした表です。
【注文住宅と建売住宅の価格と面積一覧】
注文住宅 | 土地付き注文住宅 | 建売住宅 | |
所要資金(全国) | 3,717万円 | 4,694万円 | 3,719万円 |
住宅面積 | 122.8㎡ | 111.5㎡ | 101.9㎡ |
<参照・引用:住宅金融支援機構 2022年度 フラット35利用者調査「所要資金(融資区分別)の推移(2012~2022年度)」・「住宅面積(融資区分別)の推移(2012~2022年度)」>
基本的に注文住宅は土地購入からするため、ここでは、土地付き注文住宅と建売住宅を比較いたします。
土地付き注文住宅と建売住宅の価格の差は、978万円で土地付き注文住宅の方が高額です。また、面積も9.6㎡の違いがあり、土地付き注文住宅の方が広いです。
このことから、土地付き注文住宅と建売住宅を比較した場合、土地付き注文住宅の方が広くて高額であることがわかります。
建売住宅より高い注文住宅を選ぶ理由
なぜ建売住宅より高い注文住宅を選ぶのでしょうか?そこには、さまざまな理由が存在しています。
建売住宅より高い注文住宅を選ぶ理由には、以下の4点があります。
- 間取りや設備、外観デザインなどの自由度が高い
- 理想通りの住宅に住める
- 家族構成やライフスタイルに合わせて建てられる
- 注文住宅を建てている様子を見学に行くことができて安心
それでは、建売住宅より高い注文住宅を選ぶ理由について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
間取りや設備、外観デザインなどの自由度が高い
注文住宅は建売住宅よりもはるかに自由度が高いといった特徴があります。
建売住宅はすでに建てられている住宅を購入するのに対し、注文住宅は設計から携われるからです。
間取りや設備、外観デザインなどにこだわりたい場合には、注文住宅を選択するのがベストでしょう。
理想通りの住宅に住める
注文住宅はすでに建っている住宅を購入する建売住宅とは異なり、設計から携われるので理想通りの住宅に住むことが可能です。
入居までに時間はかかってしまいますが、その分、理想を反映させられます。
家族構成やライフスタイルに合わせて建てられる
家族構成やライフスタイルによって、欲しい部屋数や収納の数は変わってきます。
建売住宅も家族構成やライフスタイルによってどの住宅を購入するかを選択することは可能ですが、注文住宅のように家族構成やライフスタイルに住宅を合わせることができません。
家族構成やライフスタイルに住宅を合わせたい場合には、注文住宅の方がよいといえるでしょう。
注文住宅を建てている様子を見学に行くことができて安心
建売住宅はすでに住宅が建っているため、建てている様子を見学に行くことができません。
ですが、注文住宅の場合は、設計から携わっているため、注文住宅を建てている様子を見学に行くことが可能です。
どのように建てられているかを確認することは、住宅を建てる上で重要なので、注文住宅の方が安心して購入できるでしょう。
高い注文住宅の価格を抑える方法
注文住宅は高額なものだと認識されている方も多いのではないでしょうか?ですが、注文住宅の価格を抑えれば、本来の注文住宅よりも安く建てることが可能です。
高い注文住宅の価格を抑える方法には、以下の16点があります。
- 延床面積を減らす
- 平屋の場合は、2階建てに変更する
- 総2階にする
- 部屋数を減らす
- 窓の数を減らす
- 収納スペースを減らす
- 外壁が凹凸にならないようにする
- 水回りはワンフロアだけにする
- 後からでも付けられるオプションは先に付けない
- 和室はつくらない
- 玄関ホールはつくらない
- バトンリーのドアをつけない
- リビングの中に階段をつくる
- 設備のグレードを下げる
- エアコンなど自分で手配できるものは自分で手配する
- カーテンはオーダーしない
それでは、高い注文住宅の価格を抑える方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
延床面積を減らす
延床面積は、注文住宅の室内の面積の合計のことをいいます。延床面積を減らすということは、坪数も減るということになります。
注文住宅は坪単価で計算するため、延床面積を減らすことで高い注文住宅の価格を抑えることにつながります。
また、延床面積を減らすことで、必要な材料費がカットされるため、価格を抑えられます。
平屋の場合は、2階建てに変更する
平屋と2階建ての場合では、2階建ての方が価格を抑えられます。
これは平屋の方が基礎工事や屋根材などが平屋の方が高額になってしまうためです。
注文住宅の価格を抑えたい場合には、平屋を避ける方がよいでしょう。
総2階にする
同じ2階建てでも、通常の2階建てと総2階建てでは、総2階建ての方が価格を抑えられます。
総2階は1階と2階の面積が同じであるため、基礎だけでなく、屋根材や構造部分が安くすみます。
デザインが嫌でなければ、総2階を選択するのもよいでしょう。
部屋数を減らす
部屋数を減らせば、必要な材料が減るので、自然と価格を抑えられます。
ですが、子どもがこれから生まれる場合などは、人数分の部屋をつくりたいなど、さまざまな希望があるでしょう。
部屋数で対応するのではなく、広い部屋をつくり、間仕切りで仕切れるように設計することで、部屋数を減らして、コストカットを叶える方法もあります。
窓の数を減らす
窓の数を減らすと材料費が抑えられて、コストカットができるだけでなく、断熱効果も得られるので一石二鳥です。
ただし、窓の数を減らしすぎると、日当たりや風通しが悪くなることがあるので注意が必要です。
収納スペースを減らす
収納スペースが多ければ多いほど、便利な住宅になると考えている方もいらっしゃることでしょう。
ですが、たくさんの収納スペースをつくることはコストアップにつながってしまいます。
小さな収納をたくさんつくるのではなく、大きな収納を少しだけつくる方が注文住宅の価格を抑えることにつながります。
外壁が凹凸にならないようにする
延床面積が同じ場合、凹凸のある住宅よりも四角く凹凸のない住宅の方が外壁に使用する材料が少なく済むため、価格を抑えられます。
ただし、間取りなどで不便が出たり、外観のデザインが気に入らなかったりといった不都合が出てくる可能性があるので注意しましょう。
水回りはワンフロアだけにする
2階建てや3階建ての場合、それぞれの階にトイレや洗面台をつくることがほとんどでしょう。
ですが、水回りをワンフロアに集約、つまり1階だけにトイレや洗面台を設置することで、注文住宅の価格を抑えられます。
ただし、不便にはなるので、利便性を取る場合にはあまり適した方法ではないでしょう。
後からでも付けられるオプションは先に付けない
後からでも付けられるオプションは先に付けず、後から付けることでコストカットができます。
たとえば、外構や床暖房などがこれにあたります。
ですが、結局、後から付けるのであれば、一時しのぎ的なコストカットであるため、本当に必要なオプションなのかをじっくり考えましょう。
和室はつくらない
洋室と比較すると、和室は費用がかかります。
また、注文住宅を建てるときだけでなく、維持費の面から見ても、洋室と和室では和室の場合、畳などの維持が必要であるため、洋室の方が費用がかからないといったメリットがあります。
玄関ホールはつくらない
玄関ホールはあると便利なものではありますが、敢えてつくらないことでほかの部屋と仕切る必要がないため、コストカットができます。
また、照明も設置する必要がないため、その点でも価格を抑えられます。
バトンリーのドアをつけない
収納スペースはドアがあって当たり前だと思われがちですが、収納には必ずしもドアは必要ありません。
パントリーなど食品を置くスペースは中が見えても特に不都合はないので、コストカットの観点からドアをつくらない方法があります。
リビングの中に階段をつくる
リビングの中に階段をつくると、廊下や壁を余分に使用しません。
場所のカットがそのままコストカットにつながります。
設備のグレードを下げる
注文住宅は設備のグレードを自由に決められるのが魅力のひとつです。
ですが、すべての設備のグレードを上げすぎてしまうと、注文住宅の価格は上がってしまいます。
グレードを下げられる設備はグレードを下げることで、価格を抑えられます。
エアコンなどで自分で手配できるものは自分で手配する
注文住宅を建てる際には、エアコンの設置も注文住宅のオプションの中に組み込まれていることがあります。
ですが、エアコンなどは自分で手配した方が安く済むことも多いため、いくらで設置されるのかを質問することは大切です。
もし、注文住宅のオプションが高額であれば、自分で手配するようにしましょう。エアコンは時期によっては必需品であるため、設置をスムーズに済ませる必要があります。
カーテンはオーダーしない
ハウスメーカーによっては、カーテンのオーダーを勧められることがあります。
ですが、カーテンもエアコンなどと同じで自分で手配した方が安く済む傾向にあるので、勧められたからといって注文住宅の費用内に組み込まない方がよいでしょう。
まとめ:注文住宅が高いと後悔しないための対策
注文住宅を建てたいと思ったときに、まず気になるのはその価格ではないでしょうか?注文住宅はイコール高いというイメージを持っている方も多いでしょう。実際に注文住宅は建売住宅や分譲住宅と比較すると、高額になりがちです。ですが、注文住宅には高い理由がしっかりあります。
注文住宅を建てる場合には、注文住宅の価格の平均と相場を知っておくようにしましょう。相場を知っておけば、購入しようとしている注文住宅が高すぎるかどうかの判断ができます。
また、注文住宅が高い原因や注文住宅と建売住宅の価格の違いを知ることは、なぜ注文住宅が高いのかを理解する上で必要です。注文住宅は高いものなので、価格を抑える方法も併せて知っておくと、注文住宅を購入する際に役立つでしょう。