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新築の売買契約書がない時の対応|紛失時の対処法や再取得方法とは?

新築の売買契約書がないと焦ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?新築の売買契約書は大切なものであり、きちんと保管をしておかなけれはならないものです。ですが、売買契約書を紛失してしまったときには解決する方法があります。

この記事では、新築の売買契約書がない時の初期対応ではどうするべきかをはじめ、売買契約書の再発行と再取得方法、売買契約書紛失時のリスクと対策、請負契約書とは?請負契約書と売買契約書の違いについて、詳しくご紹介いたします。

新築の売買契約書がない時の初期対応

新築の売買契約書とは、正式には「不動産売買契約書」といいます。売買契約書には、主に「住宅を売買契約書に記載されている金額で買主が購入すること」や「売主から買主に住宅の所有権が移転すること」が書かれています。

このほか、以下のことが売買契約書には記載されています。

  • 売買代金の支払い時期
  • 取引する土地や建物の住所(購入する住宅の詳細)
  • 購入する住宅の面積
  • 売主の住所と氏名
  • 買主の住所と氏名

また、不動産売買契約書は土地と建物の両方に関する売買契約書なのに対し、土地売買契約書という土地に関する売買契約書も存在しています。

新築の住宅を購入する際には、売買契約書はとても大切なものです。ですが、誤って紛失してしまうこともあるでしょう。新築の売買契約書がないときには初期対応が重要です。

新築の売買契約書がないときの初期対応には、以下の4点があります。

  • 売買契約書をコピーをしてもらう
  • 売買契約書を再発行してもらう
  • 通帳などの振込履歴を確認し、売買契約書の代わりの書類として使用する
  • 抵当権設定登記の債権額を確認すして、売買契約書の代わりの書類として使用する

それでは、新築の売買契約書がないときの初期対応について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

売買契約書をコピーをしてもらう

新築の売買契約書が紛失してしまい、手元にないことがわかったら、まずは不動産会社に連絡をしましょう。不動産会社では、最低でも5年間、売買契約書を保管しています。場合によっては、5年以上保管していることもあるので、5年以上経っている場合でもダメ元で不動産会社に連絡することは大切です。

もし、不動産会社に新築の売買契約書が保管されていた場合は、売買契約書のコピーをもらって対応しましょう。

また、不動産会社がすでに保管していなかった場合には、売主に連絡をしましょう。売主が新築の売買契約書を保管していた場合には、売主の保管していた売買契約書をコピーさせてもらうことで解決します。

売買契約書を再発行してもらう

新築の売買契約書が紛失してしまい、手元にないことがわかったら、まずは不動産会社に連絡するところまでは、売買契約書のコピーをしてもらうときと手順は同じです。このとき、同時に売主にも連絡を入れます。

これは、不動産会社と売主の両方の署名と捺印がなければ、新築の売買契約書を再発行してもらえないためです。不動産会社と売主が署名と捺印をしてくれれば、売買契約書の再発行はしてもらえます。

このとき、注意が必要なのは、売買契約書のコピーとは異なり、売買契約書の再発行には、収入印紙を貼らなければならないという点です。

通帳などの振込履歴を確認し、売買契約書の代わりの書類として使用する

通帳の振込履歴や領収書など、売買契約書に記載されている内容の証拠となるような書類を集めることで売買契約書の代わりの書類として使用することが可能になります。

売買契約書のコピーをもらえなかったり、再発行してもらえなかったりしても、これらを用意することができれば問題ありません。

抵当権設定登記の債権額を確認すして、売買契約書の代わりの書類として使用する

抵当権設定登記とは、購入した住宅がどのような住宅であるかをはじめ、所有者が誰であるかなどが記載されている不動産登記のことをいいます。

抵当権設定登記には、債権額が記載されています。債権額とは、住宅ローンの契約時の金額のことです。抵当権設定登記は、法務局に赴き、窓口で登記簿を取ることが可能です。また、「登記情報提供サービス」と呼ばれる法務局のサービスでは、インターネット上から登記簿の申請をすることができ、即座にパソコンで内容を確認できます。

それだけでなく、「オンライン登記事項証明書請求」という法務局のサービスでは、インターネット上から登記事項証明書を申請することで、法務局から郵送で登記簿が届きます。

インターネットで登記簿の申請をしても売買契約書の代わりの書類として使用できる?

「登記情報提供サービス」には、証明力がないため、売買契約書の代わりの書類として使用するには、法務局の窓口に赴くか、「オンライン登記事項証明書請求」を選択した方がよいでしょう。

「オンライン登記事項証明書請求」では、郵送の場合は1通につき500円の手数料が、窓口での交付を選択した場合には1通につき480円がかかります。ただし、50枚を超えた場合には50枚ごとに100円が加算されるので注意が必要です。

また、支払い方法はインターネットバンキングとペイジー対応のATMからの払込みのみなのでこの点にも注意しましょう。

<参照:東京法務局ホームページ「インターネットを利用して,登記事項を確認するサービスについて」>

売買契約書の再発行と再取得方法

売買契約書の再発行と再取得は可能です。

売買契約書を紛失してしまい、再発行してもらうときには、以下の手順で再発行の手続きをします。

  1. 不動産会社に連絡を入れて、売買契約書の再発行の依頼をします。
  2. 売主にも連絡を入れて、売買契約書の再発行のための署名・捺印を依頼します。
  3. 不動産会社と売主に売買契約書の再発行のための署名・捺印をしてもらいます。
  4. 売買契約書の再発行が完了したら、収入印紙を貼ります。

収入印紙はの金額は、国税庁ホームページ「No.7101 不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書」に記載されています。

以下は収入印紙の金額です。契約金額は住宅購入時の契約金額を指します。

記載された契約金額 税額
1万円未満のもの 非課税
1万円以上10万円以下のもの 200円
10万円を超え50万円以下のもの 400円
50万円を超え100万円以下のもの 1,000円
100万円を超え500万円以下のもの 2,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円
5,000万円を超え1億円以下のもの 6万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

<引用:国税庁ホームページ「No.7101 不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書」>

このように、一通りの手続きを行えば、売買契約書の再発行は可能となります。

売買契約書紛失時のリスクと対策

売買契約書の紛失には、大きなリスクがあります。そのため、売買契約書を紛失したままで放置しておくのは得策ではありません。売買契約書の紛失に気が付いたら、少しでも早く不動産会社に連絡するようにしましょう。

なぜなら、売買契約書の保管期間は5年間と決まっているからです。5年以上経っている場合は、不動産会社が売買契約書を破棄してしまっている可能性がありますが、トラブルを防ぐ理由で5年以上経っている場合でも保管されているかもしれません。

ですので、まずは不動産会社への連絡が重要になります。もし、不動産会社が破棄してしまっていた場合には、売主に連絡をしてみましょう。売主が売買契約書を保管している可能性があります。

売買契約書の代替書類になるものもありますが、可能であれば、売買契約書のコピーや再発行といった手続きを取る方がよいでしょう。

では、売買契約書の紛失をすると実際にどのようなリスクがあるのでしょうか?

ここでは、売買契約書の紛失時のリスクについて、詳しくご紹介いたします。

売買契約書の紛失時のリスクには、以下の2点があります。

  • 住宅ローンの借り換えをする際に、不動産価値の証明が不可能になる
  • 新築の住宅を売却する際に、売却利益で損をしてしまう

それでは、売買契約書の紛失時のリスクについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

住宅ローンの借り換えをする際に、不動産価値の証明が不可能になる

売買契約書には、いくらで住宅を購入したかが記載されています。購入代金は不動産価値の証明には必要なものです。ですが、売買契約書を紛失してしまっていると、購入代金はわからないため、不動産価値の証明ができないことになります。

住宅ローンの借り換えをするときに必要な書類のひとつが売買契約書であるため、紛失しているとリスクになるといえるでしょう。

ちなみに住宅ローンの借り換えをするときには、主に以下の4つの書類が必要になります。

  • 売買契約書
  • 重要事項証明書
  • 工事請負契約書
  • 不動産登記簿謄本

そのため、住宅ローンの借り換えをしたい場合には、売買契約書を用意しなければなりません。

売買契約書を紛失してしまった場合には、不動産会社や売主に売買契約書のコピーをもらったり、不動産会社に再発行してしまったりする方法がありますが、住宅ローンの借り換えの場合は、紛失したことを伝えれば、売買契約書ない状態でも借り換えは可能です。

ただし、本来は必要な書類ですので、売買契約書があるにこしたことはありません。

新築の住宅を売却する際に、売却利益で損をしてしまう

新築の住宅を売却する際には、売却収入から不動産の取得費と譲渡費用を引いた分である不動産の譲渡所得が所得税や住民税の課税対象となります。ですが、売買契約書がないと不動産の取得費が証明できません。不動産の取得費が証明できない場合には、概算取得費として不動産取得費を計算することになります。

概算取得費で計算ができるのだから、売買契約書がなくても問題がないのではないか?と思われる方もいらっしゃるかもれしません。しかしながら、この概算取得費は、譲渡費用の5%しか計上することができないため、売買契約書があった場合のように控除額が高額になることがないといった問題が生じます。

ただし、売買契約書を紛失してしまった場合でも、売買契約書のコピーや再発行、売買契約書の代替書類の用意ができれば、不動産の取得費の証明ができるため、概算取得費での計算ではなく、不動産の取得費として計算することが可能です。

請負契約書とは?請負契約書と売買契約書の違い

住宅購入時には、さまざまな契約をすることになります。売買契約からはじまり、請負契約、住宅ローンの契約などです。

売買契約書と請負契約書は、住宅を建てる際には必ず必要となるものですが、それぞれ特徴が異なります。

ここでは、請負契約書について、また請負契約書と売買契約書の違いについて、詳しくご紹介いたします。

請負契約書とは?

請負契約書とは、正式には「工事請負契約書」といいます。また、別名で「建築請負契約」と呼ばれることもあります。

請負契約書は、家を建てるときに交わす契約書のことです。請負契約書を交わしてから、住宅の工事が行われます。

請負契約については、建設業法(昭和二十四年法律第百号)の第三章 建設工事の請負契約では、以下のように規定されています。
第三章 建設工事の請負契約
第一節 通則
(建設工事の請負契約の原則)
第十八条 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。
<引用:建設業法(昭和二十四年法律第百号)の第三章 建設工事の請負契約>

また、建設工事の請負契約の内容は、第十九条に以下の内容を記載するように定められています。

  1. 工事の内容
  2. 請負代金の金額
  3. 工事着手の時期と工事完成の時期
  4. 工事をしない日と時間帯がある場合には工事をしない日と時間帯
  5. 請負代金の全部や一部の前金払、出来形部分に対する支払いがある場合には、支払いの時期と方法
  6. 設計変更や工事着手の延期、工事の全部または一部の中止の申し出があった場合の請負代金の額の変更または損害の負担、変更や損害の金額の算定方法をどうするか
  7. 天災なとがあった場合の工期の変更や損害の負担やその額の算定方法をどうするか
  8. 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動や変更に基づく請負代金の額、工事内容の変更について
  9. 工事の施工によって、第三者が損害を受けた場合、賠償金の負担をどうするか
  10. 注文者が工事に使用する資材を提供したり、建設機械その他の機械を貸与したりするとき場合は、内容と方法について
  11. 注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期・方法・引渡しの時期について
  12. 工事完成後の請負代金の支払の時期と方法について
  13. 工事の目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合、不適合を担保すべき責任や当該責任の履行についての保証保険契約の締結その他の措置に関することを決めるときの内容について
  14. 各当事者の履行が遅れたり、その他債務の不履行があったりした場合に、遅延利息や違約金、その他の損害金をどうするか
  15. 契約に関する紛争が起こった場合のに解決方法について
  16. その他国土交通省令で定める事項について

<参照・引用:建設業法(昭和二十四年法律第百号)の第三章 建設工事の請負契約>

請負契約書と売買契約書の違いとは?

請負契約書と売買契約書には、2つの違いがあります。

1つ目は、売買契約書には宅地建物取引業法が適用されますが、請負契約書には宅地建物取引業法が適用が適用されない点です。

2つ目は、売買契約書を交わすときには手付金が必要ですが、請負契約書を交わすときは手付金が必要がない点です。

このように、請負契約書と売買契約書には契約する際の違いがあります。

まとめ:新築の売買契約書がない場合の対処法

新築の売買契約書を紛失してしまってない状態のとき、どうしていいか途方に暮れてしまう方もいることでしょう。ですが、新築の売買契約書がない場合には、適切な初期対応を取れば問題はありません。売買契約書のコピーや再発行をしてもらったり、代替書類になる書類を用意したりすることで、多くの場合は問題が解決できます。

売買契約書の再発行と再取得方法については、手順をしっかり知っておくことでスムーズに対応することができるでしょう。また、売買契約書紛失時のリスクと対策についても理解しておくことが大切です。

それだけでなく、請負契約書について知っておくと、請負契約書と売買契約書の違いを自然と理解できるようになるので、新築の住宅を購入する際や購入した際に役立つことでしょう。