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土地売却手続きの流れ|必要用書類や注意点、相続や古家付きの場合も解説

土地を売却するためには、土地の売却の流れを知っておかなければなりません。

土地の売却の流れは、通常の土地と相続した土地、古家付き土地では、一部流れが異なるため、それぞれの流れを知っておくことが大切です。

しかしながら、土地売却について、いまいちよくわからないという方も多いのではないでしょうか?

この記事では、土地売却の流れを通常の土地・相続した土地・古家付き土地の場合を順に解説するだけでなく、土地売却手続きの必要書類と土地売却手続きの注意点についても詳しくご紹介いたします。

土地売却手続きの流れ

土地売却の手続きの流れを知っておくことは、土地を売却する上で重要です。事前準備が必要なことなので、土地を売却するときは流れを頭に入れた状態で行うようにしましょう。

以下は一般的な土地売却手続きの流れです。

  1. 土地の相場を調べる
  2. 土地を査定してもらう
  3. 媒介契約の締結をする
  4. 売却活動を行う
  5. 土地売買契約の締結をする
  6. 決済をする
  7. 土地の引き渡しをする

このように、土地売却には、一連の流れがあり、どの工程も飛ばすことはできません。

土地売却手続きの流れ【相続の場合】

土地の売却手続きの流れは、どのようなケースかによって異なります。

土地を相続して売却するときは、遺産分割協議で相続するケース・法定相続するケース・遺贈によって相続するケースの3種類があり、どの相続方法で相続しているかを分けられます。

ここでは、法定相続したケースにおいて、解説いたします。

相続した土地の売却手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 戸籍関係書類の取得をする
  2. 不動産登記の申請書を記入する
  3. 不動産登記を行う
  4. 相続した土地の相場を調べる
  5. 相続した土地の査定を申し込む
  6. 媒介契約を締結する
  7. 売却活動をする
  8. 売買契約を締結する
  9. 決済をする
  10. 土地の引き渡しをする

それでは、売却手続きの流れを、相続した場合の土地売却手続きの流れに該当する項目にしぼって、それぞれ詳しく見ていきましょう。

戸籍関係書類の取得をする

まず、土地を相続した場合は、戸籍謄抄本・除籍謄抄本を取得します。

戸籍関係書類を取得するのは、以下の2つを証明するためです。

  • 相続の開始があったこと
  • 法定相続人を特定すること

戸籍を遡る場合、結婚や離婚、再婚などがあったときには、多くの戸籍を遡らなければならないことがあります。

戸籍謄抄本や除籍謄抄本は、本籍ごとに自治体に請求しなければなりません。自治体によって交付方法や手数料が異なっているため、各自治体のホームページ等で確認しましょう。

不動産登記の申請書を記入する

戸籍関係の書類を取得したら、不動産登記を行います。不動産登記では、所有試験移転登記申請を行います。

法務局ホームページ「不動産登記申請手続」から「不動産の所有者が亡くなった」をクリックすると、「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」に遷移して、不動産登記の流れについて知ることが可能です。

また、所有権移転登記の申請書様式については、法務局「不動産登記申請手続>不動産登記の申請書様式について」の「6)所有権移転登記申請書(財産分与)」から、様式と記載例を一太郎・Word・PDFの3種類からダウンロードできます。

登記申請書をダウンロードしたら、必要事項を記入しましょう。

不動産登記を行う

所有権移転登記の申請書を記入したら、以下の方法で提出します。

  • 法務局の窓口に持参する
  • 法務局宛に郵送する
  • オンライン申請をする

所有権移転登記の申請書を提出したら、書類が受理されるのを待ちましょう。

相続した土地の相場を調べる

所有権移転登記の申請が完了したら、相続した土地の相場を調べます。相続した土地の相場は、インターネット上で調べることが可能です。

相続した土地の相場を調べる方法には以下のような方法があります。

このように、相続した土地の相場を事前に調べて、査定にそなえましょう。

相続した土地の査定を申し込む

相続した土地の相場を調べたら、次に相続した土地の査定を申し込みます。

土地の査定は、不動産業者一社だけでなく、必ず複数社に依頼するようにしましょう。

不動産業者の査定価格によって、売却価格を決めるため、より高額な査定を出した不動産業者を選択することで、より高く売却できる可能性があります。

土地売却手続きの流れ【古家付きの場合】

土地の売却手続きの流れは、どのようなケースかによって異なります。ここでは、土地に古民家が付いている場合の土地の売却手続きの流れについて詳しくご紹介いたします。

古家付き土地は、「ふるやつきとち」と読みます。

古家付き土地とは、土地の上に住宅が建っているものの、その建物が古い場合を指します。多くの場合、建物としての資産価値はなく、土地のみの価格で販売されている土地が多いのが特徴です。

古家付き土地として、住宅の建っている土地を売却するか、更地にしてから売却するかは売主の意向が優先されますが、不動産業者と相談して決めるのが一般的です。

次に古家付き土地の売却手続きの流れを見ていきましょう。

古家付き土地の売却手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 古家付き土地の相場を調べる
  2. 古家付き土地の査定を申し込む
  3. 建物を解体して更地にして売るか、そのまま売るかを決める
  4. 建物を解体するスケジュールを決める(更地にして売却する場合)
  5. 建物を解体して、建物滅失登記をする(更地にして売却する場合)
  6. 媒介契約を締結する
  7. 売却活動をする
  8. 売買契約を締結する
  9. 決済をする
  10. 土地の引き渡しをする

古家付き土地の場合、更地の土地の売却と異なる点は、土地を更地にして売却するか、古家付き土地をそのまま売却するかを選択する点と、更地にして売却する場合には解体スケジュールを決めて、建物を解体する点です。

古家付き土地は、更地として売却した方がいいケースと、古家付き土地をそのまま売却した方がいいケースがあるため、状況に合わせて、選択しましょう。

それでは、売却手続きの流れを、古谷付き土地の売却手続きに該当する項目にしぼって、それぞれ詳しく見ていきましょう。

古家付き土地の相場を調べる

古家付き土地の相場は、古家付きではない土地の6〜8割程度です。売却したい古家付き土地の相場を調べて、そこから6〜8割であると考えておくとよいでしょう。

また、古家付き土地でも、建物を解体して更地で売却する場合には、古家付き土地の相場ではなく、土地としての相場を見ましょう。

古家付き土地の査定を申し込む

古家付き土地の査定も、古家付きではない土地の場合と手順は同じです。一社の不動産業者に査定を依頼するのではなく、必ず複数社の不動産業者に依頼するようにしましょう。

不動産業者に査定を依頼する方法は、不動産業者に直接査定を依頼する方法と、インターネット上で一括査定を依頼する方法があります。

手間やタイムパーフォーマンスを考えると、インターネットで一括査定を申し込むのがよいでしょう。

古家付き土地の場合は、建物にも資産価値をつけてもらえる場合と建物に資産価値をつけてもらえない場合があり、不動産業者によって、査定額にバラつきが出ることがあります。

そのため、複数社の査定を取り、比較をした上で、どの不動産業者に依頼すべきかを選択します。複数社の査定を取ることで、より高額で売却できる可能性が高まります。

建物を解体して更地にして売るか、そのまま売るかを決める

古家付き土地の場合、建物を解体して更地にして売却した方がよい場合と建物をそのままにして売却した方がよい場合があります。

建物を解体して更地にして売却した方がいい場合は、建物の強度がなく、災害などで倒壊してしまう恐れがあったり、建物に資産価値がなかったりするときです。

反対に建物をそのままにして売却した方がいい場合は、古民家としてリノベーションして利用できたり、建物に資産価値があったりするときです。

古家付き土地の場合は、建物の状況に合わせて、更地にするべきか建物をそのままにしておくべきかが変わります。

建物を解体するスケジュールを決める(更地にして売却する場合)

建物を解体し更地にして売却する場合には、建物を解体するスケジュールを決めます。

建物を解体するには、解体業者に依頼する必要があるため、解体費用の見積もりを取り、解体業者を選んだ後、依頼をして、ようやく建物の解体スケジュールを決めることになります。

古家付き土地を更地にする場合は、2~3ヵ月程度かかるため、売却はその後になります。

古家付き土地の建物を解体して更地にしてから売却する場合には、しっかり時間的な余裕を見て、スケジュールを組むようにしましょう。

建物を解体して、建物滅失登記をする(更地にして売却する場合)

建物の解体は、解体業者に依頼したら、解体されるまで待つだけでOKです。

古家付き土地の建物を解体した後は、建物滅失登記をしなければなりません。

建物滅失登記とは、建物がなくなったことを登記することをいいます。建物滅失登記の申請は、建物がなくなったときから、1ヵ月以内と決められているので注意しましょう。

建物滅失登記申請書の申請書様式については、法務局「不動産登記申請手続>不動産登記の申請書様式について」の「23)建物滅失登記申請書」から、様式と記載例を一太郎・Word・PDFの3種類からダウンロードできます。

建物滅失登記をする場合には、建物滅失登記申請書だけでなく、建物滅失証明書と解体業者の資格証明書を用意しなければなりません。これらすべてをそろえたら、法務局に申請して完了です。

土地売却手続きの流れ【相続の場合・古家付きの場合、共通】

土地売却の手続きには、相続した土地の売却と古家付き土地の売却で共通している項目があります。

相続した土地を売却する場合にのみ該当する工程と古家付き土地の売却をする場合にのみ該当する工程は、先述してきた通りです。

ここでは、相続した土地の売却と古家付き土地の売却のどちらにも該当する流れについて、詳しく解説いたします。

以下は相続した土地の売却と古家付き土地の売却の共通している流れです。

  1. 媒介契約を締結する
  2. 売却活動をする
  3. 売買契約を締結する
  4. 決済をする
  5. 土地の引き渡しをする

それでは、相続した土地の売却と古家付き土地の売却に共通している流れをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

媒介契約を締結する

相続した土地や古家付き土地の売却方法を決めたら、不動産業者と媒介契約を締結します。

媒介契約とは、不動産業者に売却を依頼するときに売主との間で締結する契約のことです。

媒介契約には、以下の3種類の契約方法があります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

【一般媒介契約とは?】
一般媒介契約は、複数の不動産会社と媒介契約を締結できる契約方法です。

【専任媒介契約とは?】
専任媒介契約は、一社の不動産会社としか媒介契約が締結できません。売却の取引は、不動産業者と売主のどちらでも可能です。

【専属専任媒介契約とは?】
専属専任媒介契約は、一社の不動産会社としか媒介契約を締結できません。売却の取引は、不動産業者のみが可能であり、売主は売却の取引を行えません。

このように、媒介契約には3種類もあるため、どのような売却方法を取りたいかによって、締結する媒介契約を選択する必要があります。

売却活動をする

土地を売却する場合、相続した土地でも古家付き土地でも、売却活動を行います。

売却活動で行うことは、売主と不動産業者で行うことが異なります。それでは、売主と不動産業者がそれぞれ行うことについて、詳しく見ていきましょう。

【売主がやること】

  • 売り出し価格を決定する(売主が希望する価格でOK)
  • 土地の景観をきれいに保つ(雑草の除草など)
  • 室内をきれいに保つ(古家付き土地の場合)
  • 見学者が来訪したときの対応
  • 購入希望者との価格交渉

【不動産業者がやること】

  • インターネット上で土地の売却情報の掲載
  • 売却する土地のチラシの配布
  • 売主からの相談に乗る

このように、売主と不動産業者がそれぞれのやらなければならないことをするのが、売却活動です。

売買契約を締結する

売買契約とは、購入者と売主が売買契約書を交わすことをいいます。土地を売却する場合には、必ず土地の売買契約を締結しなければなりません。

また、売買契約書に記載される内容は、「昭和二十七年法律第百七十六号 宅地建物取引業法(書面の交付)第三十七条」で以下の通り、定められています。

(書面の交付)
第三十七条 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
<引用:「昭和二十七年法律第百七十六号 宅地建物取引業法(書面の交付)第三十七条」>

決済をする

決済とは、売買契約が締結されてから、2週間から2ヶ月程度後に行う金銭のやりとりのことをいいます。

売買契約では、以下の方法で決済を行います。

  • 現金
  • 銀行振込(住宅ローン)

決済を実施する場所は、基本的に購入者が指定しますが、金融機関で行うのが一般的です。

土地の引き渡しをする

決済まで完了したら、土地の売却の最終段階である土地の引き渡しを行います。

土地の引き渡しとは、所有権移転のことをいいます。土地の引き渡しは、金融機関で実施されることがほとんどです。

土地の引き渡しは、売買契約書に記載されている期日までに実施します。もし、期日までに土地の引き渡しができない場合には、違約金が発生してしまうので注意が必要です。

土地売却手続きの必要書類

土地売却手続きは、土地の売買契約を交わすため、必要な書類が数多くあります。

土地売却手続きに必要な書類は、以下の7点です。

  • 土地・建物登記済証(権利証)・登記識別情報
  • 印鑑証明書
  • 本人確認書類
  • 固定資産税通知書・都市計画税納税通知書
  • 固定資産評価証明書
  • 地積測量図
  • 物件状況等報告書

これらの書類のほかにも、以下のものが必要となります。

  • 実印
  • 印紙
  • 印紙代金
  • 仲介手数料不動産業者に依頼した場合

このように、土地売却手続きには、普段使用しないような書類をたくさん用意しなければならないため、不備がないようにきちんとそろえましょう。

土地売却手続きの注意点

土地を売却するときには、注意しなければならない点が数多くあります。

土地売却手続きの主な注意点は以下の10点です。注意すべき理由と合わせて、詳しく見ていきましょう。

土地売却手続きの注意点 注意すべき理由
土地売却の全体の流れをしっかり把握しておく 土地の売却をしたことがない場合、土地売却の一連の流れを把握しておくことで、ミスを防げる可能性が高くなるため
土地の相場を確認する 土地を売却する上で、査定額に問題がないか確認するため
不動産業者を状況に合わせて選択する 相続した土地を売却する場合は、税理士事務所と提携している不動産業者を選ぶなど、後々の手続きのことまで考えて選択する必要があるため
土地の売却にかかる費用を確認する 仲介手数料や登記費用などを合算した金額を把握しておくことで、予想外の出費とならないようにするため
建物付きで売却するか、更地にしてから売却するかを決定する 古家付き土地の場合は、建物付きか更地かで販売価格や売主が負担する税金が異なるため
相続前に土地の売却を検討する 土地の相続から売却まで十分な時間を確保できない場合は、土地を安く買い叩かれてしまうのを回避するため
土地の情報を正しく申告する 土地の情報の申告が事実と異なった場合、売主に庇護担保責任が発生してしまうため
土地の詳細を確認する 不動産登記内容と登記事項証明書を照らし合わせて確認することで、実際の土地の状況と異なるといったトラブルを回避できるため
確定測量図を確認する 隣地や道路との境界を確認して、購入者の境界線トラブルを回避するため
使用承諾を取得する 土地に面している道路が私道の場合は、使用しても問題ないか確認するため

土地売却手続き まとめ

土地の売却は、その土地がどんな土地であるかによって、売却の流れが一部変わってきます。

相続した土地であるのか、古家付き土地であるかによって、必要な手続きが異なるため、その手続きにかかる時間や費用を考慮して、土地の売却を実施しなければなりません。

たとえば、相続した土地であれば、戸籍関係の書類を取得したり、不動産登記を行ったりしますし、古家付き土地であれば、建物を解体して更地にして売るか、そのまま売るか決めたり、建物を解体する場合には建物の解体をして建物滅失登記をしたりしなければなりません。

また、土地売却手続きの必要書類と土地売却手続きの注意点を知っておくことで、土地売却をするときにスムーズに行えます。

このように、土地の売却をするときには、流れや注意点などをしっかりと把握しておくことが大切です。