注文住宅を建てる際、気になるのは「価格」ではないでしょうか。「工務店の坪単価の平均は?」、「ハウスメーカーと比べて一番安いのはどっち?」と、単純に坪単価だけで比較するのは危険です。工務店やハウスメーカーによって、計算の仕方や含まれている費用が違うからです。
この記事では、工務店やハウスメーカーの坪単価の平均や相場、正しく比較するためのポイント、異なる点、予算通りに理想の家を建てるために単価を抑えるコツを分かりやすくご紹介しています。しっかりと予習して、自分にピッタリのお得な家を手に入れましょう!
工務店の坪単価の平均/相場はいくら?
注文住宅を建てる際に重要なのは、建てる会社選びと資金計画です。その上で、坪単価についてしっかりと理解しておく必要があります。大半がローンを組んで購入するため、月々の返済に関わるからです。
坪単価とは?
坪単価とは、一坪(3・3㎡)あたりの建築費のことをいい、建物の本体価格を延床面積で割れば出ます。延床面積は、各階の面積をすべて足した値です。例えば本体価格2000万円、1階の面積30坪、2階20坪であれば延床面積は50坪で、2000万円÷50坪で、坪単価は40万円です。
ただ、この坪単価は会社によって計算の仕方が違います。延床面積の定義に共通のルールがないからです。また、注文住宅を建てるには様々な費用がかかりますが、これもどこまでが含まれているかが異なります。そのため、単純に比較ができないのです。詳しく見ていきましょう。
工務店の坪単価の目安について
工務店の坪単価は、45万円~50万円台が中心です。全国の数字を見てみますと、住宅金融支援機構がまとめた「2020年度フラット35利用者調査」では、注文住宅(全国)の平均価格は3534万円。坪単価は、本体工事費用を建設費の78%で計算すると、延床面積111・1㎡(33・6坪)で68・7万円です。土地付き注文住宅の場合は、全国平均価格は4397万円。こちらも本体工事費用を78%とすると、延床面積124・4㎡(37・6坪)で73・1万円です。
数字はあくまで全国平均で、フラット35の利用者を対象にした調査ではありますが、建物のみの場合の平均坪単価は60万円台、土地付き注文住宅は70万円台がおおよその相場です。こうした面からも、工務店のコストパフォーマンスの高さがうかがえます。
ただ、坪単価の計算は会社によって異なります。具体的には「建物価格÷延床面積=坪単価」と、「建物価格÷施工面積(坪数)=坪単価」という二つの表記の仕方があります。工務店の場合は「建物価格÷施工面積(坪数)=坪単価」で表記していることが多いです。
(出典・住宅金融支援機構2020年度フラット35利用者調査)
工務店の坪単価を比較する3つのポイント
工務店の坪単価を比較するには、三つのポイントが挙げられます。「坪単価に含まれているものは何か」、「本体工事費に何が含まれているか」、「延床面積と施工面積のどちらで計算しているか」をチェックすることがとても重要です。延床面積が大きくなればなるほど、坪単価が低くなります。順番に見ていきましょう。
坪単価に含まれているものは何か
坪単価に含まれている費用は、建築会社によってさまざまです。そのため、坪単価のみで家は建てられません。「付帯工事費」、「諸費用とその他費用」が含まれているかどうかを確認しましょう。家を建てるのにかかる全体費用のうち、坪単価の基礎になる「本体工事費」が占める割合は7割が目安で、それ以外が3割あることを忘れてはなりません。
本体工事費以外の3割の中には、建て替えの場合は「解体費用」、「外構工事費」、地盤が軟弱な場合は「基礎補強工事費」の金額が大きくなりがちで、見積もりの当初は見えにくい部分でもあります。予算オーバーの要因にもなりますので、必ず事前に確認しましょう。
本体工事費に何が含まれているか
注文住宅の見積もりを見ると、本体工事費がありますが、これもどこまで含まれるかは会社によります。特に諸費用の部分では、「諸官庁の手続き費用」、「建築確認申請の手続き費用」、「設計料」、「工事監理費」、「網戸の設置費」といった部分が、本体工事費に含まれているかどうかで数字は変わってきます。注意しましょう。
延床面積と施工面積のどちらで計算しているか
施工面積と延床面積は異なります。施工面積は、実際に工事を施した部分(建築工事費がかかる面積)をいいます。玄関ポーチやロフトなどもすべて含まれることから、延床面積よりも施工面積の方が大きくなります。
延床面積は、建物の床面積を全部足した面積のことです。2階建ての住宅であれば、1階と2階の床面積を合わせた数字です。例外はあるのですが、吹き抜けやベランダなど、壁で囲まれていない箇所は、延床面積には含まれません。この点をしっかりおさえなくては、正しい比較ができない重要なポイントです。
工務店の坪単価とハウスメーカーの坪単価の違い
工務店とハウスメーカーの特徴に違いがあるように、坪単価にも違いがあります。一般的に工務店は坪単価が45万円から50万円台とされています。全国の平均価格を見てみると、木造住宅の平均価格は57・2万円、鉄骨造は75・6万円、RC造は95・2万円で、木造が一番安く、鉄骨造やRC造は1・5倍から2倍高くなることが分かります。
大手ハウスメーカーには、ローコストが得意な会社や、高気密・高断熱などの高性能住宅、高級住宅といった高価格帯のメーカーがあります。それぞれの相場は、ローコストが坪単価30~50万円、高価格帯は70~90万円以上が目安です。
工務店の坪単価がハウスメーカーより安い理由とは?
工務店の坪単価がハウスメーカーより安い理由は、大きく分けて三つあります。工務店はハウスメーカーとは異なり「標準仕様に縛られない」こと、「施工費用が安い」こと、「人件費の面でコストが抑えられる」ことが挙げられます。順番に見ていきましょう。
標準仕様に縛られない
大手ハウスメーカーは、使用する部材や部品、商品などの標準仕様が定められています。これらを自社工場でつくるため品質が一定で高い精度で出荷し、現地で組み立てます。高性能、高機能なものを採用している分、坪単価も高くなる傾向です。
一方、自社設計・施工の工務店であれば、こうした標準仕様がなく自由に設計でき、部材もある程度選ぶことができます。このため、全体の予算から、施主がこだわる部分と、費用を抑えるところのメリハリをつけることができ、コストを抑えながら理想の家づくりに近づけることができるのです。
施工費用が安い
大手ハウスメーカーは、テレビCMなどの効果もあり全国的に抜群の知名度とブランド力があります。こうした広告宣伝費といった販売経費の割合が、工務店と比べて高い点が挙げられ、ハウスメーカーの注文住宅の費用は高くなりがちです。
一方、工務店は地域密着の営業が持ち味。エリアが地域に限定されており、会社によりますが広告宣伝費などの販売経費の割合は低めです。ハウスメーカーも、規格を統一して建築部材を大量生産する面からコストを抑えられる面もありますが、全体の費用面で見ると、同程度の家を建てる場合は工務店の方がコストパフォーマンスに優れているといえます。
人件費の面でコストが抑えられる
大手ハウスメーカーは、住宅展示場を抱えていることから、受付やスタッフが必要です。そのほかにも営業や設計、総務関係や商品企画といった本社系の社員などさまざまな人材が在籍しています。それだけ人件費も上乗せされるという面もあります。
工務店であれば、営業担当者と設計担当が兼務をしているケースがあるほか、総務や経理も一人で担当していることも珍しくありません。必要最低限の人員でやりくりしていることを考えても、会社にもよりますが、経費の面では少数精鋭の工務店の方が、コストメリットが高いことが期待できます。
工務店で注文住宅を建てる時に坪単価を抑えるコツ
工務店で注文住宅を建てる時に坪単価を抑えるには、コツがあります。まずは「シンプルな建物にする」こと。「外装と内装を見直す」ことも大切です。加えて「水回りをまとめる」、「高価な住宅設備を導入しない」、「建築費全体を把握しておく」という五つです。順番に見ていきましょう。
シンプルな建物にする
注文住宅は同じ部屋数や同じ延床面積でも、間取りが違えば価格も大きく変わってきます。そのため、シンプルな建物にするのが最も坪単価を抑えることができます。例えば、2階建ての注文住宅を建てるなら、1階と2階が同じ床面積にする「総2階建て」がおすすめです。四角い家は施工面積が少なくてすむため、坪単価も抑えることができます。
さらに「壁」に着目しましょう。壁が多ければ、それに伴い資材費も多くかかり、施工にも時間がかかります。可能な限り壁を取り払うことは、坪単価を抑えるのに効果的です。広い空間や子ども部屋、寝室については個室にせず、家具などをおくことで区切ると最小限の壁ですみます。部屋数を減らすことで、照明や冷暖房器具も減らすことができるなど様々な効果が得られます。
より大きなコストダウンを目指すなら、家の面積を小さくすると良いでしょう。家の面積が大きくなれば、施工面積も大きくなります。小さくすればそれだけ材料費や工数、人件費も抑えられるため、コストメリットは大きいです。
外装と内装を見直す
外装は、外壁や屋根の面積が大きく価格に影響します。「片流れ」と呼ばれる、一方向に傾斜している屋根の形状であれば、面積を少なくして雨樋などの建材も少なくて済み、初期費用を抑えることができます。高い位置に窓が作れるため、平家でも明るい住環境にできます。切り妻型は、雨漏りなどのメンテナンス性を考えると良い選択ですが、その分コストがかかります。
内装では、壁紙など後で変更できるものについては安価なものを選ぶようにしましょう。和室が一部屋あると、客間、寝室にもできるので便利ですが、こだわりがなければ思い切ってなくしてしまうのも、節約につながります。作り付けの木製家具も、改めて家具を買わなくてすむため人気ですが、オーダーメイドで作れば割高になってしまうこともあります。必要かどうかはよく考えましょう。
水回りをまとめる
キッチンや洗面所、お風呂、トイレといった水回りは、できるだけ近くにまとめるのがコストダウンにつながります。理由は、給配管の設備を減らせるからです。配管が減れば、水回りのトラブル防止にもなります。
2階建ての注文住宅であれば、2階にトイレや洗面所を設置したい、と考える人が増えていますが、費用を抑えたいなら1階にまとめると良いでしょう。どうしても2階にも必要な場合は、1階の水回りの真上に設置して配管を減らすことも検討しましょう。
高価な住宅設備を導入しない
水回りでも出てきましたが、キッチンなどの設備は、基本装備に必要なオプションを加えていくことで充実します。例えばキッチンでは、人気のアイランドキッチンは見た目が良いですが、その分高価です。また、扉などの面材のグレードを上げると、それだけ高くなります。見た目にこだわりがないなら、白色を選べばグレードの違いがあまり目立たないのでおすすめです。
ただ、コストダウンばかりに目が行くと、住み始めてからの暮らしの質に関わってきます。キッチンにこだわるのであれば、どこかの費用を削るなど、トータルのバランスで、最低限必要なもの、お金をかける部分とそうでない部分をそれぞれ決めておくと良いでしょう。
建築費全体を把握しておく
注文住宅を建てる際に大切なのは資金計画です。建築費用全体について考えておくのは極めて重要です。気持ちが大きくなり、費用の上限をなんとなく思いつきで引き上げてしまえば、無理なローンを組むことになり、住み始めてからの暮らしの質が、返済に追われて下がってしまいます。
建築費用全体を見れば、車庫や外構などの付帯工事、税金、ローンの手数料も必要です。土地の購入も必要であればその分も考える必要があります。坪単価を抑えるという意味でも、譲れない部分は何か、削れる部分はどの部分かを考え、信頼できる工務店に相談しながらプランを練り上げることが大切と言えます。
工務店の坪単価の平均目安まとめ
いかがだったでしょうか。工務店の坪単価について、単純に価格だけで比較はできないということが分かったと思います。それは、ハウスメーカーも含めて、坪単価の計算の仕方が会社によって異なるからです。
坪単価は、一坪(3・3㎡)あたりの建築費のことで、建物の本体価格を延床面積で割れば出ます。工務店の坪単価の平均は、45万円から50万円台が目安です。ただ、会社によって坪単価が違うということを分かった上で、工務店の坪単価の平均や相場を把握することが大事です。
プランを坪単価で比較する場合は、「坪単価に含まれているものは何か」、「本体工事費に何が含まれているか」、「延床面積と施工面積のどちらで計算しているか」の三つのポイントをチェックしましょう。これらを踏まえて初めて比較ができます。特に延床面積と施工面積については、しっかり確認する必要があります。
大手ハウスメーカーはブランド力がある規格型住宅、工務店は自由な設計とコストパフォーマンスの強みという違いがあり、坪単価にも違いがあります。ハウスメーカーにもローコストを売りにしている会社もありますが、高価格帯は70万円から90万円以上が目安です。
工務店の坪単価がハウスメーカーより安いのは、ハウスメーカー特有の「標準仕様に縛られない」こと、「施工費用が安い」こと、「人件費の面でコストが抑えられる」という3点が挙げられます。
工務店で注文住宅を建てる時に、坪単価を抑えるコツとしては五つのポイントがあります。「シンプルな建物にする」こと。「外装と内装を見直す」こと、「水回りをまとめる」こと、「高価な住宅設備を導入しない」こと、「建築費全体を把握しておく」ことです。
ここで最も重要なのは、シンプルな建物にすることです。1階と2階の延床面積が同じの四角い家がもっとも安く建てられます。その際、屋根を片流れにし、壁もできるだけ少なくすることでコストを圧縮することができます。
いずれにしましても、家を建てるにはしっかりとした資金計画、予算を考えておくことが重要です。坪単価など表向きの数字に惑わされることなく、しっかりとした見積もりの比較をして、理想のマイホームを手に入れましょう!



















