注文住宅は、自分の思いで建てられるのが良いところです。
完成した家には、自分の家づくりに対する理想が詰まっています。
しかし、自分の希望ばかりを伝えても、工務店に任せきりでも良い家づくりはできません。
一生に何度も建てることができないからこそ、先輩たちのこれまでの家づくりの失敗談や後悔したことに耳を傾ける必要があります。
謙虚に耳を傾け事前に考えるべきポイントを押さえておけば、完成後に後悔することは減るでしょう。
今回は、注文住宅を建てる際によくある失敗談と、失敗談から学ぶべき間取りのポイントについて解説します。
注文住宅で理想の家づくりを実現するために、ぜひお読みください。
家づくりの失敗談・後悔したこと一覧
注文住宅は、分譲住宅とは異なり施主の意思を反映した設計を組めるのがメリットです。
しかし、施主は家づくりの専門家では無いので、完成後に後悔することがあります。
理想の家づくりを目指してみたものの、実際に住んでみないと、よく失敗するポイントはわからないものです。
この章は、家づくりの経験者が、マイホームの完成後に感じた家づくりの失敗談と後悔したことを紹介します。
納得いく家づくりには、まず先輩たちの失敗談を押さえることが大切です。
ここでは、12の失敗例にまとめました。
間取りやデザイン・機能・予算面でありがちな失敗例は次のとおりです。
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間取り |
使いにくい間取り 収納スペースが不便 屋外スペースが使いにくい |
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デザイン |
仕上がりがイメージと違う 細かい部分が使いにくい |
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機能 |
冷暖房が効きにくい 日当たりや風通しが悪い 視線が気になる 音が気になる 匂いが気になる |
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予算 |
メンテナンスが不便 予算が足りない |
失敗例1.使いにくい間取り
- 団らん時にテレビの前を通らないと移動できない
- 朝起きて準備する時間帯に、洗面台やトイレ近くで通りにくい場所がある
- バスルームを使っていると、洗面所が使いにくい
使いにくい間取りに関する失敗例は多くあります。
建築前に平面詳細図で確認しているはずが、完成後に使いにくいと気付くことがあるでしょう。
実際に住んでみないとわからない点もありますが、設計打ち合わせの段階からイメージを持って検討することが大切です。
す. 時間帯や季節など、特定の条件で発生する動線にも気を付けましょう。
朝の忙しいときや夏や冬特有の動線など、時間帯や季節の条件によって左右される要素もあるので、いろいろなケースを考えての検討が必要です。
家づくりはやり直しがきかないので、経験者に話を聞くなど情報収集に努めるようにしましょう。
失敗例2.収納スペースが不便
- 部屋を広くしたら収納スペースが足りない
- 収納スペースの奥行きが足りなくて入らない
- 家族が増えたら収納ができない足りなくない
- 収納場所が2回で運びにくい
暮らしていくうえでの動線や住みやすさに重点を置いていると、収納スペースの優先度が低くなりがちです。
収納すべきものの予想が付きにくく、将来的な見込みも立てにくくなります。
収納量を仮定したとしても、机上でしか確認しないことが多いため、実際にはスペースが足りなかったり使い勝手が悪かったりすることはあり得ることです。
現在使用している収納家具やボックスなどの寸法も確認して、現地に配置できるか新たに準備すべきかも合わせてチェックしておきましょう。
失敗例3:屋外スペースが使いにくい
- 駐車場が狭く、冬タイヤやメンテナンス用品を置くと一杯になってしまう
- 洗濯物を干すためのベランダがおもったより狭かった。
- 庭を広めに作ったが、草刈りが大変
家づくりは、建物の部分だけではなく屋外の外構部分も大切です。
庭やベランダ・駐車場などを設置する際には、のちのちの使い勝手やメンテナンスも考えて計画しましょう。
将来車が増える可能性があるので駐車場を広く取りたいとか、庭にドッグランを設けたい、休日は友人を招いてパーティをしたいという要望もあるかもしれません。
資金や敷地の制約があるので、要望事項の中から優先順位を決めて取り組むことが必要です。
屋外スペースを広くすると、清掃や草刈りなどメンテナンスの負担が増えることも忘れないようにしましょう。
失敗例4.仕上がりがイメージと違う
- フローリングや壁紙の模様が気になる
- 部屋全体で統一感がない
内装の仕上がりは、机上のイメージだけではなかなか想像できないことがあるかもしれません。
設計と現物のイメージが異なることはよくあります。
だからといって、設計に意味が無いわけではありません。
設計段階からできるだけ現物のイメージを持っておけば、仕上がりの違和感を防げることがあります。
また、フローリングや壁紙などは見本帳などで必ず確認しますが、全体としての統一感も大切です。
個々の要素がどんなに良くても、統一感が欠けていると残念な結果になります。
建物や部屋全体のイメージを常に持って、個別のパートを選ぶ意識を持ちましょう。
失敗例5.細かい部分が使いにくい
- 段差があって脚をぶつけやすい
- 階段が滑りやすい
- 家具を配置したら、片方向にしかドアが開かない
- 玄関の照明スイッチが直感的でないので逆にしたい
図面を見慣れていないと、設計図ではわかりにくい部分があります。
家づくりをする人は、細かい部分が使いやすいか想像しにくい場合があるので、気になったらその都度確認することが大切です。
家の中の段差の有無やドアの開閉方法などは、バリアフリーの観点からも気を付けて見ておきましょう。
電源スイッチボタンの機能の割り当て方など、細かい点では事前に気付くのが難しいこともあります。
図面でわかりにくい部分ほど、設計者に確認するなど、慎重に検討しましょう。
同じ仕様の家に住んでいたり、製品を使っていたりする経験者に話を聞くと有益な情報が得られます。
失敗例6.冷暖房が効きにくい
- 部屋の広さと冷暖房設備が合っていない
- 吹き抜けなど開放的な間取りのために、冷暖房が効くのに時間がかかる
冷暖房の効き具合は、設備図を見ても想像が難しいです。
冷暖房設備の性能と部屋の間取りの関係は慎重に見極めないと、手戻り工事の原因となります。
断熱性や気密性・耐震性・省エネ性を備えた「高性能住宅」だとしても、客観的で明確な基準はありません。
冷暖房の効率をどのくらいに想定しているかは、設計段階で工務店に確認しておきましょう。
一方、高性能住宅と似たものに「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」や「長期優良住宅」などがあります。
これらには明確な定義があり、税制面や融資面での優遇措置も講じられているのが特徴です。
| ZEH | 太陽光発電等を採り入れてエネルギーを創り出し、高断熱・省エネ性能を備えた家 |
| 長期優良住宅 | 耐震性や省エネ性を備え、長期にわたり良好な状態で使用できる家 |
失敗例7.日当たりや風通しが悪い
- 終日、日が当たらない部屋がある
- 窓からの光がテレビに反射して見にくい
- 日当たりが悪くじめじめとする部屋がある
- 西日が差し込むので、部屋の温度が上がりすぎる
家づくりには、家の向きが大切です。
それでも、部屋の位置によって日当たりや風通しに差が出ることがあります。
どの部屋を優先して考えるかは、事前に確認しておきましょう。
日当たりは季節や時間帯によっても異なるので、細かく想定しておくことが必要です。
最近の感染症対策や一酸化炭素中毒防止で換気が重要となっています。
換気しやすい方法や外部から見えにくい構造かも確認しておきましょう。
失敗例8.視線が気になる
- 窓を開けると隣の家の人と視線が合ってしまう
- ガラス窓を大きくしたら、外からの視線が気になる
- 外から玄関や家の中が丸見えになってしまう
- 近所から家の中が見えるので、窓を開けて換気ができない
案外見落としがちなのが、外部からの視線です。
大きな窓を設置すると採光性が高まりますが、家の中も見えやすくなります。
隣の家との距離や高さには注意しておきましょう。
自分の家の設計図面ではわからないことがあるので、現地で隣の建物や道路との配置関係に注意を払うようにするとよいです。
失敗例9.音が気になる
- トイレの位置が居間と近く、水を流す音が聞こえる
- 書斎とキッチンと距離が短く、調理器や食洗機の音が気になる
- 道路に面した部屋で、近所の車のエンジン音が気になる
人が生活する上で、音は付きものです。
実際に住んでみると、家の内外から聞こえる音が気になることもあるでしょう。
利便性が高いからと言って、リビングと水回りを近くしたりすると想定外に音に悩むことになるかもしれません。
位置関係は慎重に選びましょう。
また、車の往来や近所の騒音など外部の音が気になる場合もあります。
寝室や書斎など、音に神経を使う場所の配置は慎重に行いましょう。
失敗例10.匂いが気になる
- 交通量の多い道路に面しているため、車の排気ガスの匂いがひどい
- 吹き抜け構造のため、1階の匂いが2階のまで広がってしまう
- 開放的な構造が人気なため、家中をオープンな構造にすることがあります。
リビングから子ども部屋・ロフトまでオープンにすると、音のほかに匂いも広がってしまうかもしれません。
オープンな構造にするなら、換気には充分配慮すべきです。
また、居住スペースが道路に近いと、騒音だけでなく車の排気ガスやゴミ置き場の匂いが
気になる場合があります。
間取りを工夫するか、換気を意識しつつ気密性の高いボードを採用するかの対策が必要でしょう。
失敗例11.メンテナンスが不便
- 庭の草刈りが大変
- 壁紙に落書きが落ちにくい
- 子どもが小さく障子の張り替えが必要
- フローリングの部屋にものが散らかり、自動掃除機をかけられない
理想の注文住宅が完成しても、メンテナンスがしにくく不便であれば効果は半減します。
広い庭で草刈りを時間をかけて何度もしなくてはならなかったり、綺麗なフローリングも子どもがものを散らかせば自動掃除機をかけられなかったりするかもしれません。
最初に家を設計する際には、のちのちのメンテナンス面も頭に入れておきましょう。
LED電気器具は長持ちしますが、交換作業はまるごと取り替えなければならない場合があります。
便利な家電や設備も、ある程度のメンテナンスは避けられません。
利便性と許容できる範囲との折り合いを見極めることが大切です。
失敗例12.予算が足りない
- 設計後に欲しいものが多く、結果的に予算を追加しなければならない
- 追加オプションを当初の契約時に見積もっておかなかった
- 建築費のみで諸経費や税金の率を過小に見積もっていた
注文住宅の予算を見積もる際には、資金に余裕を持っておきましょう。
設計していくと、欲しいものが増えたり、オプションを追加したりしたくなることがあります。
最初の見積もりに必要な要素がすべて含まれているかは、念を入れて確認が必要です。
理想の家づくりのため、欲しいものが増えても対応できるだけの資金の余裕がある程度あるとよいでしょう。
万が一、追加で資金を用意することになると、金融機関に追加融資の手続きをしなければなりません。
家づくりを発注する際には、直接の建築費だけで、諸経費や税金の計算を過小にしていることも多いです。
建築にかかる費用の総額10%程度は充てられるようにしておきましょう。
家づくりで後悔しない!失敗談からわかる間取り決めのポイント・対策とは?
家づくりの機会は一生に何度もあるわけでは無いので、よくある失敗談を踏まえて後悔しないようにしたいものです。
工務店は家づくりには慣れてはいますが、施主の要望はさまざまなものがあります。
要望をどの程度、設計に反映させるかを最終的に決断するのは施主です。
工務店任せにして後からこんなはずでは無かったと後悔しないようにしましょう。
工務店は家づくりのプロなので、施主の要望を伝えれば的確にアドバイスしてもらえます。
工務店とのコミュニケーションを大切にして、家づくりを進めていきましょう。
この章では、家づくりで後悔しない、失敗談からわかる間取り決めのポイント・対策を解説します。
ポイント1.ライフスタイルの変化を見据えた設計にする
家づくりには暮らしが反映されます。
間取りを決める際には、現在だけでなく将来必要になる要素も考慮するとよいでしょう。
たとえば結婚して子どもが生まれると、親とは別にこども部屋が必要になり収納スペースも追加で必要になります。
子どもの数が増えればその分の部屋数も必要になるので、変更可能な間取りにするなどスペースに余裕を持っておくのもよいでしょう。
また、夫婦が年齢を重ねたり親の介護が必要になったりすることもあります。
考えられるライフイベントを想定しておき、ライフスタイルの変化を見据えた設計にすることが大切です。
ライフスタイルが変化するたびに費用を追加するのではなく、柔軟に対応できる間取りを考えておきましょう。
家づくりの先輩や工務店の意見も大切に採り入れていきます。
ポイント2.十分な資金を用意する
住宅ローンの借入には注意が必要です。
借入限度額は、年収による制限があります。
頭金で利用する現金のほかには、親族から住宅取得資金の贈与を受けたりローンを組んだりするのが一般的です。
住宅ローンを計画する際には十分な資金が必要ですが、生活を圧迫しないような返済計画も必要となります。
借り入れの際には、都銀や地方銀行、住宅ローン会社などの商品を検討して適したものを選びましょう。
住宅支援機構のフラット35は審査は厳しくないですが、固定金利の商品しかありません。
変動金利などのバラエティがある民間の商品と比較が必要です。
資金計画は建設費だけで無く、諸経費や税金を含めた範囲に収まるかどうかも確認しましょう。
また、工務店から家づくりの見積書をもらった後は、記載されていない追加費用が発生する可能性があるかどうか確認しておきます。
事前に確認して納得するようにしましょう。
ポイント3.必要な設備を吟味する
実際に家づくりを考えていくと、あったら便利なもの・ぜひ取り入れたいものなどが見えてきます。
要望がリストアップできたら、本当に必要かどうか吟味しましょう。
冷蔵庫や家具などはもちろんのこと、浴室暖房乾燥機や食器洗浄機・LED照明等の設備も耐用年数があります。
いつ使えなくなるかはわかりませんが、だんだん使わなくなったり、買い換えにお金がかかったりする設備があるのは当然です。
家づくりの際には、この際にと何でも詰め込みがちですが、少しずつの積上げ金額でもトータルでは大きな金額になってしまします。
家づくりに必要な設備を考える際には、優先順位を考慮しましょう。
ポイント4.複数の工務店から選ぶ
家づくりの見積もりをもらう際は、複数の工務店からもらうようにしましょう。
見積もりを受けるうちに、家づくりに関する知識が増えていくものです。
同じような工務店でも、得意分野が異なり特徴のある施工を行うところがあります。
複数の工務店から話を聞くチャンスなので、違いを意識して聞きましょう。
家づくりはやり直しができないので、いろいろな選択肢を持つことが大切です。
複数者の見積もりや施工方針を比較して、希望する予算の範囲も踏まえて自分の理想に近い提案をしてくれるところを選びましょう。
ポイント5.設計打ち合わせを重視する
見積もりと提案を吟味して任せられる工務店が決まったら、いよいよ実際の家づくりです。
予算と家づくりの概要が決まると、詳細な設計打ち合わせはないがしろになる傾向があります。
工務店を選んだら、信頼関係を構築し自分の要望をできるかぎり反映してもらうようにしましょう。
なんでも工務店任せだったり、施主の希望ばかり主張したりしていても良い家づくりは出来ません。
設計段階から何度もよく話し合いをして、納得のいく家づくりをしてください。
打ち合わせの回数は多く、決めなければならないこともたくさんあります。
細かい打ち合わせでも、できるだけ時間を捻出して都合をつけて出席するようにしましょう。
設計打ち合わせを通じて自分の家に対する理解が深まると、家への愛着も一層湧いてきます。
家づくりの失敗談と対策まとめ
注文住宅を建てる機会はそう何度もありません。
理想の家づくりをするには、完成後の暮らしを想像し後悔しない準備が必要です。
家づくりの失敗は、間取りやデザイン・機能・予算で起きやすい傾向があります。
失敗談を活かして後悔しない間取りのポイントは次のとおりでした。
- ポイント1.ライフスタイルの変化を見据えた設計にするポイント2.十分な資金を用意する
- ポイント3.必要な設備を吟味する
- ポイント4.複数の工務店から選ぶ
- ポイント5.設計打ち合わせを重視する
- どんなに周到に準備して設計を理解しても、完成後に後悔することはあり得ます。
だからこそ、事前に経験者から話を聞いたり設計者から説明を受けたりして、後悔しないような準備が必要です。
よくある失敗談を理解しておけば、失敗する確率も減少します。
今回の記事が、失敗談を活かした理想の家づくりの参考となれば幸いです。



















